春の日のこと(後編)

前回までのあらすじ

中洲のソープで2万ドブに捨てたうえにノー射精でフィニッシュだったのでもう1軒行くことにした。




1件目のソープを出たバーチャルユーチューバーの肩ロースは考えていた。ここからどうするか。
店を出てすぐに確認したスマートフォンには、別の店に入った同僚からの「おそらく22:30過ぎになります」とのメッセージ。
現在時刻は22:10ほど。このまま適当な居酒屋で待つのが普通の判断だと思う。


しかし、1件目のソープで2万をドブに捨てたうえに出すものも出さずに笑顔で退店したという経験が心に重くのしかかる。
本当にこれでいいのか。お前、ジョーカー何回目だ?せっかくの福岡、せっかくの中洲、こんな思いで終わって良いのか?
自問自答すること5秒。気持ちを入れ替えて2件目のソープを探すことにした。
今までそれなりに風俗店で愛のない乳首を舐めてきたが、1日でソープをハシゴするのは人生でも初めての経験だ。


とりあえず、先ほど使用した無料案内所と、その近隣は除外しよう。流石に同じところ2回は無理だし。
次に、今からネットで調べるのも多分無理だ。酒がそれなりに回っているし、路肩で立ったまま探すのは正直しんどい。
アテもなく適当に路地を曲がったところ、そこにも案内所が。どんだけ案内所あるんだよ と思いながらも、まぁ適当に
写真だけでも見て考えようと思い入店した。


最初の案内所と同様に、相場がよくわからないことを伝えるとやはり「2万程度」との回答が得られる。
安くて16kから18k、しかし、提携の店だと40分14kでいける。じゃあそこで と伝えるとすぐ横にあるエレベータで2階へ。
これ明らかに案内所のガワを被った店舗受付じゃねーか と思ったが、考えるのも億劫だったのでそのまま入店し、
明らかに年齢が上っぽい一人を除いた数名からのフリー という条件で1万4千円を支払った。


待合室には先客のオッサンがいた。さほど汚い外見はしていないしハゲ散らかしている様子もない。
もしかして……これは……実はアタリなのでは……?
かすかな希望が芽生え始める。
気持ちを落ち着かせるためにタバコを吸い、スマートフォンを開く。Twitterを眺める。
ついでに店名でちょっと検索する。あ、多分これダメなやつだ。スマートフォンをそっと閉じる。


待つこと20分、ついに呼ばれて嬢と対面である。
そこに居たのは、1件目の嬢がまだ許せるなーと感じてしまうほど景気の良い肩ロースだった。
強いて言うなら笑顔がちょっと朝青龍に似ている。もはや顔を見るだけでチンポも心も折れそうだ。


さっと身体を洗いすぐに行為を開始するが、なんと朝青龍の肩ロース、意外と上手い。
しかしその流れのまま体制を変えた瞬間、眼前に広がる横綱朝青龍によってチンポも心も突き落とし。
「他のオンナノコに聞いたんだけどこうするといいかも〜(100g248円声)」と言われ
電気を消して真っ暗な状態で行為に及ぼうとするも、たとえ目に映らなくても心に焼き付いてしまった
第68代横綱朝青龍のすくい投げが容赦なくチンポを襲う。これはまたしても無理かもわからんね。


この辺りで流石に限界を迎えたので。朝青龍明徳自慢の41種を数えた多彩な技に切り替えてもらうことに。
目をつぶり己と向き合い、記憶にある限りのセクシャルな何かを必死に思い出すこと数分。長かった戦いはここに終わった。



その後、別店舗で同じように散々な目にあった同僚と合流し、屋台で飲んで帰った。
天神の屋台で飲む瓶ビールは、いつもより少し苦かったように思う。



(おわり)