絶対に笑ってはいけない高尾山信徒峰中修行会(前篇)

そろそろ重い腰を上げて、この話を書こうかと思います。
タイトル通り修行会に行ってきました。

6月6日 早朝

前日までの長崎出張により3時半起床→5時半起床のコンボを喰らいながらも、何とか朝6時だかそのくらいに起床。明らかに普段より早い時間であるが、それもこれもみんな修行のためである。
前日のうちになんとなく荷物っぽいものをまとめておいたので、「運動着、運動靴(登山靴可)※お持ちの方は白装束」という指定に従い、もっとも運動に適していると思われるサバゲーカーゴパンツとタクティカルシューズを装着してリュックを背負って出発。一路、高尾山口へ。
道中、「下着(滝行用)」というのが白い下着しか認められないことを知り、ノーパン修行僧となる危険を回避するためコンビニに立ち寄るが当然ながら白いパンツなど売っていない。一抹の不安を抱えながら集合場所へ向かった。

09:30

受付開始である。周囲を見渡すと、ガチ修行僧ファッションからハイキングファッション、果てはジャケットを着た金髪のオッサンまで幅広い客層である。人数は80人程度、うち男性が3/5で女性が2/5といったところ。参加料として1万5千円を支払い旅のしおりを受け取っていると、後ろのほうで白装束と護摩木の即売会が始まった。一枚200円の護摩木をまるで10連ガチャを回すかのごとく10枚、20枚と買っていくガチ修行僧ファッション勢はあまりにもシュールで異様な光景に思えた。ぼけーっと眺めていたところ、今度は錫杖の即売会も始まった。途端に群がるガチ修行僧ファッション勢。「音がいいねぇ」「真鍮なのかな」などと話しながら錫杖をしゃんしゃんし始めるその姿は、一種の地獄絵図だった。この時点で「友人に誘われたので特に興味があるわけではないアイドルのイベントに参加してみたところ、予想以上に周囲がガチだったので居心地が悪いうえに会話する相手もいなくてどうしようもなくなってきた一般人」みたいな状態になっていた。

10:00

いよいよ修行開始である。ここで、「導師様がいらっしゃるときには法螺貝を吹きます」というオモシロイベント告知が行われた。徐に鳴り響く法螺貝の音、慌てて正座し合掌し始める修行僧一同。あらわれる導師様。突然始まる般若心経。そこには未知の世界があった。
渡された旅のしおりに般若心経とあとなんかそれっぽいのが書いてあったので必死で追いかけていると、突如として書いていないフレーズが飛び出してきた。どういうことだ。聞いてないぞ。よくわからないうちに法楽が終わり。開会の挨拶みたいなのが始まった。余談ではあるがこの辺で足が辛くて正座をするのをやめた。
道中は8人の先達(SENDATSU)が同行するらしく自己紹介をされたが全く覚えられない。山伏styleのスキンヘッドをどうやって区別すればいいのか。まぁ、別に困らないだろうと思い早々に名前を覚えることは諦めた。完全に余談ではあるが、この山伏style、ヤマノススメセカンドシーズン 登頂記念パーティー(in 飯能市民会館)夜の部でICIスポーツの人がやってた登山用品クイズの中で日笠陽子が茶番を繰り広げていたことでおなじみの尻皮を装着していたので初見から笑いを抑えるのに必死でした。(尻皮はこんなの

11:00

持参した弁当を適当にその辺で食し、我々修行僧は一路、蛇瀧(じゃたき)水行道場へ向かった。そう、滝行である。
よくわからないが掛け念仏なるものをアレしながら回峰行(山道を練り歩くこと。いわゆるハイキング)をしましょうということになり、SENDATSUがリズミカルに叫ぶ「慙愧懺悔!」に合わせて「六根清浄!」と返し続けながら山を登って行った。所々でリズムや音程を乱されると返し方が分からなくなるので止めてほしいと思いながら、とりあえず登る。登る。登る。
どうやら普通の登山コースからは少し離れた道を選んだようで、割と歩きごたえがあった。あと、ひたすら大声を上げているのでそれなりに疲れる。が、まぁ、高尾山だしね……登山っていうほどでもないよね……くらいのアレである。ガチ修行僧ファッション勢は年配の人間が多いのでこれでも苦行なのだ。仕方がない。

12:00

多分このくらいの時間に水行道場へ到着。さっそく行衣(レンタル)に着替えて滝行である。
下着は白しかダメなのかと思ったが、周囲のカジュアルファッション修行勢がそんなに守っている様子ではなかったので弊社も普通に黒いパンツで参加することにした。ノーパン修行僧の辱めを受ける危険はこれで回避された。ありがとう。ありがとう。
滝に打たれるにはそれなりにルールがあるらしく、とりあえずその辺の掃除、身を清めるために塩を被り、水を被り、五体投地を二回やって、いよいよ本番。5mくらいの滝で水を背中に受けながら、ひたすら南無青龍大権現と唱え続けた。
前日が雨だったので水量がやや心配だったが、そうでもなかった。また、水は冷たかったがこちらも我慢できないほどではなかった。正確にいうと待っている時間が一番寒かった。滝は……何だろうな。滝に打たれながら大声で念仏を唱え続けるという行為に身を投じると、余計なことを何も考えなくなるというか、雑念が無くなるんだと思う。終わった時、ガラにもなくすがすがしい気持ちになった。
その後、着替えてから山頂まで再度ハイキングへ。

14:30

多分このくらいの時間に山頂の本坊へ到着。ちなみに、ここに至るまでの間に立ち寄るところのすべてで般若心経を唱えている。内容は全く覚えられないが口は回るようになってきた。
宿坊では8人一部屋になったが、特に周囲の修行僧と会話を楽しみたい気持ちは存在しないのでフードをかぶってスマホを弄っていた。夕方近くになり、ひたすら般若心経を唱えまくる儀式のため本坊へ。確か1時間くらい般若心境フェスティバルをしていた。頑張って正座しようかと思ったが足が痺れたので早々に諦めた覚えがある。あと、この手のお寺に行くと大体蝋燭か線香があるんだけど、ガチ修行僧ファッション勢がこれまた10連ガチャを回すよりもカジュアルに小銭をじゃらじゃらさせて蝋燭に火を付けまくっていた。課金要素多めである。

18:00

このくらいの時間に夕飯。精進料理というか、肉が入ってない料理というか。そんな感じ。
10年くらい前に岩手の毛越寺に泊まったことがあるんだが、その時に朝ごはんで食べた食事に近いものがあった。正確にいうと、毛越寺のほうが旨かった。割と手間暇かけて作ってるんだろうなぁというのは伝わってくるんだが、精進料理なのでとにかくパンチが効いていない。腹は膨れるが満足感が得られない味わいであった。
その後、風呂に入ってから月輪観(がちりんかん)なる儀式のため本坊へ。ガチ輪姦である。詳細は割愛するが、弊社の中では最終的に宇宙が核爆発に包まれて消滅した後に再度収束して圧縮され新たな世界が誕生した。何がなんだかよくわからないがそういうものなんだと思う。

21:00

就寝。隣の部屋から「ぼくのわたしの今まででたのしかった修行体験」トークが聞こえてきてクソ五月蠅かった。

翌日へ続く。